日本僑報社 2017年8月6日(日) 12時50分
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北京科技大学の葉書辰さんは、「爆買い」だけではない日本旅行について作文につづっている。写真は原爆ドーム。
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中国人観光客の「爆買い」が減少傾向にあると報じられているが、こうした現象に中国人が旅そのものを楽しみ始めたと評価する声もある。北京科技大学の葉書辰さんは、「爆買い」だけではない日本旅行について作文に次のようにつづっている。
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それは去年のお正月に、日本に旅行してきたばかりのおばちゃんが自分の買いあさった日本製品をみせてくれた時のことです。「買いたいものいっぱいあるわ。まだ足りないと思うよ」。おばちゃんの衝動買いにもう呆気に取られてしまった私は、なんとなく物思いに沈んでしまいました。
多くの私のおばちゃんみたいな中国人は一体どういう目的で日本に行くのでしょうか。きっと旅行のために日本に行くというわけではありません。明らかに名所旧跡もきちんと味わうこともなく帰ってきたのではないでしょうか。
ふと思い当たったことがあります。大学の日本語学科に入ってからいろいろな日本人留学生に出会いました。彼らは中国での買い物より中国の文化や歴史にずっと興味があるようです。私の知り合った日本人の友達の中で、万里の長城や故宮といったところにとどまらず、南京大虐殺記念館に行ったことがあるという人もいます。
ある日本人留学生は昨年、南京大虐殺記念館を参観したそうです。「血生臭い写真や虐殺された人々の骨を見ると、私はやはり胸が張り裂けるほどの恐怖を感じた。しばらくして、身の毛がよだちながら、暗い展示室から出た」と話してくれました。中国人の私は、歴史を学ぶためその記念館を訪れましたが、まさか日本人が記念館を訪れるとは夢にも思いませんでした。
もう一つ思い出したことがあります。先日、日本概況の授業で先生はいろいろな日本の世界遺産を紹介してくださいました。その中で一番印象に残ったのは原爆ドームです。1945年8月6日、日本の広島市は原子爆弾に襲われました。それから3日後、長崎県にも原爆が投下されました。原爆ドームはレンガ造り3階建てで、ほぼ真上で原爆がさく裂し、中にいた約30人は全員即死したとされています。建物は大半を焼失し、ドーム周辺部だけが残りました。
多くの中国人は日本が原子爆弾に襲われたことを知っていますが、いつ襲われたのか、どの都市が襲われたのかを知っている人はそんなに多くないと思います。原爆ドームを知っている中国人も少ないのです。突然私はなんだか原爆ドームのエレジーの声がするように感じました。原爆ドームが泣いています。
先生が授業中、原爆ドームの周りの建物は全部壊れてしまいましたが、原爆ドームだけは残っていると私たちに教えてくださいました。これは奇跡といっても過言ではないと思いました。きっと神様がわざとこの遺跡を歴史の証として残しているのだと思います。確かに歴史の不幸は取り返せません。しかし、歴史の悲劇を二度と繰り返さないよう私たちは中国人であれ、日本人であれ、原爆ドームを忘れてはいけないのではないでしょうか。もし私が日本に行ったら、必ず平和記念公園にある原爆ドームを見に行きたいと思います。
原爆投下から今年の8月で71年となります。71年たっても焼けた瓦の断面から熱線や爆風の恐ろしさがわかります。それをできるだけ多くの中国人にも知ってほしいと思います。爆買いする以外に、私たちは原爆ドームを泣かせないように歴史を忘れてはいけません。(編集/北田)
※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、葉書辰さん(北京科技大学)の作品「原爆のエレジー」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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