Record China 2017年6月19日(月) 11時10分
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13日、韓国に不法滞在する外国籍の男性が、火災現場での人命を救った功労が認められ韓国政府から「義人」に選ばれた。これまでも外国籍の義人はいたが、不法滞在者は初めてのことだという。写真は釜山駅前。
2017年6月13日、韓国に不法滞在する外国籍の男性が、火災現場での人命を救った功労が認められ韓国政府から「義人」に選ばれた。これまでも外国籍の義人はいたが、不法滞在者は初めてのことだという。韓国・中央日報が伝えた。
スリランカ出身のニマル・シリ・バンダラさん(38)は今年2月、慶尚北道(キョンサンブクド)軍威(グンウィ)郡にある果樹園で働いていたところ、近くの住宅から火が出ているのを発見、この家に一人で暮らしていたおばあさん(90)を火の中から救出した。幸いにもおばあさんに大きなけがはなかったが、ニマルさんは首や腕、頭部などに全治1カ月のやけどを負い、入院して治療を受けた。
韓国保健福祉部は12日、第3者義死傷者審査委員会を開き、「国籍を越えて義を貫く行為をした」として、ニマルさんを含む2人を義傷者に選定した。韓国では、職務と関係なく危険にさらされた人を救おうとして死亡した場合は義死者、けがを負った場合は義傷者となる。義傷者はけがの程度によって1〜9等級に分けられ、補償金や医療費、教育費などが支援される。ニマルさんには1045万ウォン(約100万円)の補償金が支給されるが、不法滞在中のため医療費や教育費の支援は受けられないという。
ニマルさんは2013年9月に一般技術ビザ(E−9)で入国し、昼は果樹園、夜は工場で働いてきた。毎月約180万ウォン(約17万7000円)を稼ぎ、うち150万ウォン(約14万7000円)をスリランカにいる親に送金していたという。しかし昨年9月にビザが切れ不法滞在者となってしまった。国に帰れば月50万ウォン(約4万9000円)を稼ぐのも厳しいからだ。
ニマルさんの弁護士は「労災であれば治療費も罰金も払わずに治療ビザを取ることができるが、労災として処理できないため、政府の補償金を不法滞在の罰金(約1000万ウォン=約98万円)に充てなければならず、非常に気の毒だ。肺の治療を受ける間だけでも韓国に滞在できれば」と話す。
ニマルさんの気の毒な事情は広く知られるところとなり、今年3月には韓国の財閥LGグループの福祉財団が「LG義人賞」と賞金3000万ウォン(約290万円)を授与している。
普段、韓国のネットユーザーの間では不法滞在者や外国人労働者に批判的な声が多いが、今回の報道には「こういう人こそ真の愛国者」「動物以下の韓国人よりましだね」「外国人労働者は嫌だけど、こういう温かい人なら大歓迎」「自分の立場を考えることなく命を救ってくれたニマルさんに感謝」とニマルさんに対する感謝や称賛の声が相次いで上がり、LG福祉財団に対しても「LG福祉財団の選択に賛辞を贈りたい」とたたえるコメントが寄せられた。
また、「法も大切だけど道理も大切。少なくとも治療費は払ってあげるべきでは?」「合法の滞在者にして、国が治療費も負担すべき」「韓国が国家であるなら、ニマルさんを例外に認定して」と国に求める声も多い。
しかし少数意見ながら、「とりあえず不法滞在者なんだから治療が終わったら帰国させて」との声もあった。(翻訳・編集/松村)
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