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<コラム>二階氏の訪中が契機となるか=停滞している日中の交流促進、まずは観光から

秋澤 文芳    2017年5月19日(金) 16時40分

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先日、「全国旅行業協会・ANTA会長でもある自民党の二階幹事長」と各界代表の訪中団が北京へ赴いた。写真は二階幹事長を代表とする訪中団。筆者提供。

先日、「全国旅行業協会・ANTA会長でもある自民党の二階幹事長」と各界代表の訪中団が北京へ赴いた。2年前の5月、人民大会堂にて旅行・観光業界団体3千名とともに大々的に「観光交流」の旗揚げをしたものの今もって日本からのアウトバウンドは停滞し、その訪中者数は依然として激減状態となっている。

今月14日から始まった「一帯一路」の国際フォーラムに参加するために訪れた日本側の代表団である二階幹事長。現地メディアは今回の日本からの派遣団の代表・二階氏を次のようにも紹介している:全国旅行業協会会長でもある自民党の二階幹事長。その国際フォーラムが始まる前日の13日に、日本からの代表団は中国国家観光局の李金早局長と会談を持った。双方の観光交流を少しでも早く推進するためだ。しかし、あの2年前の人民大会堂を埋めた大きな代表団の派遣以降も、両国の観光に関する状況は全く進展してないというのが現状である。

現在、中国側としても海外からの観光客を必死に増やすために、政府を挙げて入境(インバウンドの受け入れ)拡大策を打ち出している。日本でも同様に、観光立国の一つとしてインバウンドの倍増、3倍増に向け無謀とも思えるほどの高い数値を目標として掲げている。東京オリンピック・パラリンピック以降も膨大な数値を目標とし、何とか内需の拡大を図ろうと政府が必死にもがいている表情がよくわかる。

しかしながら、中国自身も自らを「旅行大国」と宣言しているとおり、昨年も1億4千万人の観光客を海外から受け入れた、と対外的に華々しく「世界一の旅行大国」であることを宣伝はしているものの、実態は減少状況にある。党としても、政府としても頭を痛めている。なにしろ「入境客」が頭打ちで、どちらかというとここ1、2年は減少状態だ。

政治も含め停滞している日中双方の交流促進は、まずは観光から始めるべきだ。日本側の代表団は16日に習主席と会談した。中国側では、今回の二階幹事長を全国の旅行業協会の会長としても紹介しているとおり、政治の面はもちろんだが観光面での交流促進にも大きく期待をしている。

2国間の様々な交流を拡大するためには、中国側は他の国々とは「旅游年・観光年」という名称で覚書を締結し、年間のキャンペーンを設定しながら中国側のトップが必ず相手国を訪問し交流拡大のための儀式もおこなっている。欧米他、アジアの国々と中国はすべて同じ方式をとってきた。先般の一帯一路国際フォーラム会議後に、中国とカンボジアがこの旅游年の協定を人民大会堂にて締結した。中国トップの首相も出席した。4年間の旅游協定である。

隣の韓国でも、かつて大々的に「韓国・中国旅游年」の覚書を締結し、中国からの韓国訪問者は従来の倍増の800万人を超える観光客が韓国を訪問したが、例の高高度防衛ミサイル(THAAD)問題で大失速した。この韓国のケースは例外だが、他の国々はこの「覚書」をもとに政治も経済も観光も大きな発展を成し遂げている。

この先、課題は多いと思われるが、私たちも双方向の実質的な交流を一刻も早く望みたいものだ。日本と中国とは先ずこの政府間の「旅游・観光年」の覚書から交流をスタートさせ、中国のトップの訪日も同時に促したい。今年からが難しいものなら、「2018―2020」3年間の協定により東京オリンピック・パラリンピックも併せて盛り上げていきたいものだ。

■筆者プロフィール:秋澤 文芳

東京(豊洲)在住。1973年千葉大学卒。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游管理学部研究生として現在も在籍。工学院大孔子学院旅講師、東京都日中友好協会常務理事として交流促進。観光文化ツーリズム(株)代表として旅游企画・訪日インバウンドに取組む。

■筆者プロフィール:秋澤 文芳

東京(豊洲)在住。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游科学学院研究生として現在も在籍。東京都日中友好協会副理事長・経済ビジネス委員会委員長。日中観光文化研究所、観光文化ツーリズム等の代表として旅游・訪日インバウンドやコンサル業務に取組む。

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