<米中首脳会談>「北朝鮮核放棄」で協力強化、安全保障など「4分野対話メカニズム」を新設―友好演出も課題先送り

八牧浩行    2017年4月8日(土) 15時10分

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トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、初の会談を終えた。(1)相互尊重を基礎に協力分野を拡大する(2)北朝鮮の核放棄に向けた協力を強化する(3)米国の対中貿易赤字の是正に向け、100日計画を策定する―などで合意した。資料写真。

2017年4月7日、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、米フロリダでの2日間にわたる初の会談を終えた。(1)相互尊重を基礎に違いをコントロールし、協力分野を拡大する(2)北朝鮮の核計画が深刻な段階に入ったとの認識を共有、核放棄に向けた協力を強化する(3)米国の対中貿易赤字の是正に向け、100日計画を策定する(4)外交・安全保障、経済など4分野の対話メカニズムを新設する―などで合意した。

会談でトランプ氏は「習主席と良好な関係を構築し、米中関係をさらに発展させたい。我々は多くの問題を解決することができる」と表明。習氏も「米中関係は前進させるべき千の理由があり、壊していい理由は一つもない。友好関係を安定的に発展させていきたい」と応じた。

新華社通信によると、トランプ氏は習氏による年内の公式訪中の招請を受け入れた。ロイター通信によるとトランプ氏は「初会談で米中2国間の関係は前進した。習氏との関係は傑出している」と語った。習氏は貿易・投資やインフラ整備、エネルギー分野で協力を強化する考えも表明した。

新設する対話メカニズムは(1)外交・安全保障(2)経済全般(3)法執行とサイバーセキュリティー(4)社会・文化交流―の4分野を設ける。両国間の懸案を年に1回閣僚レベルで協議する「米中戦略・経済対話」の現行の枠組みを発展改組する。

会談でトランプ氏は南シナ海、東シナ海での「国際規範順守の重要性」を指摘。習氏は南シナ海問題などの懸案は「敏感な問題を適切に処理しなければならない」と述べたという。

友好促進を謳い、協調を演出したが、課題の多くが先送りされたと言えそうだ。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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