中国、4次産業革命で「製造強国」めざす=IoT・AIを駆使―東京で「転換期の中国経済」シンポジウム

八牧浩行    2017年3月7日(火) 8時40分

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2日、「転換期の中国経済と日中産業連携」をテーマとしたシンポジウム(帝京大学主催)が都内で開催され、日中の研究者が研究成果を報告した。郭四志・帝京大教授は、中国は「製造大国から製造強国」への転換をめざしていると指摘した。

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2017年3月2日、「転換期の中国経済と日中産業連携」をテーマとしたシンポジウム(帝京大学主催)が都内で開催され、日中の研究者が研究成果を報告した。中国・大連出身で中国経済に詳しい郭四志・帝京大教授は「中国経済の転換」について講演。「これまで高成長を続けてきた中国経済は成長率が鈍化し、2011年以降、鉄鋼・石炭など重化学工業 では需給ギャップが深刻化している。このため、現在中国では成長エンジンを生産性の向上に切り替えていくという経済発展パターンの転換と、そのための産業構造の調整が求められている」と指摘した。

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その上で、「中国は経済成長の減速に伴い、構造的転換を進めている最中だ。対外直接投資やM&Aが急拡大、2015年に米国に次ぎ、世界の第2位の対外投資大国に躍り出た。2010年までの対外投資状況と比べ、これまで対外直接投資は金額だけでなく、構造的に大きく変化してきた」と説明した。

また「中国の対外直接投資額(金融を除く)は14年間連続で増加しており、2016年に前年比44%増の1701億ドルと過去最高を記録した。そのうち海外企業の買収は1072億ドルで、63%も占め、前年比96.9%と大幅増。ストックベースで2016年年末時点の対外投資額は1兆2680億ドルに達している」と報告した。

さらに、(1)供給サイドの構造改革を進め、鉄鋼・石炭を中心に過剰設備削減、過剰債務・ゾンビ企業の処理に取り組む、(2)イノベーションによる構造転換を図り、労働集約的・資本集約型産業から技術・知識集約型産業へ転換する(重厚長大から軽薄短小型に)、(3)投資・輸出依存型の成長から消費内需促進型の成長へ(投資主導から消費主導・サービス業振興による経済発展モデルの転換)―ことなどを推進するという。

また中国政府は、IoT(モノのインターネット)やAI(人口知能)など4次産業革命を契機に2025年までに、製造大国から製造強国への転換を計画。イノベーションを通じて、製品品質の向上、国産ブランドの確立を図り、次世代IT、ハイエンドNC工作機械・ロボット、航空宇宙関連設備、省エネ・新エネ自動車、電気設備、新素材、バイオ医薬・高性能医療機器、農業機械設備―など10分野に重点を置く、と指摘した。

郭教授によると、「一帯・一路」(海と陸のシルクロード)エリアで、石油など人民元決済を拡大し、脱米ドル依存の人民元経済圏の形成を目指すが、課題は対外進出の経験やノウハウが不足している点。「自主ブランド技術力のさらなるアップが急務で、日米欧など先進国との連携を強化すべきだ。中国企業は石油開発でも対外進出しているが、経験不足で進出先での反発もある。日本など先進国からノウハウを謙虚に学ぶべきである」と問題提起した。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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