日本で買った炊飯器の底には「中国製」の文字、同じ中国製でも国内外で品質が違うのはなぜ?―中国メディア

人民網日本語版    2016年12月6日(火) 7時10分

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年末が近づき、消費の盛んなシーズンを迎えて、オンラインでもオフラインでもさまざまなキャンペーンがあちらこちらで行われ、人々の購入意欲を刺激している。そうした中で、ある種の現象には注意が必要だ。資料写真。

年末が近づき、消費の盛んなシーズンを迎えて、オンラインでもオフラインでもさまざまなキャンペーンがあちらこちらで行われ、人々の購入意欲を刺激している。そうした中で、ある種の現象には注意が必要だ。

中国で製造された高機能の炊飯器は、「出身地」では販売されない。国際大手ブランドのスニーカーは、海を越えて海外で買ったものは国内で買ったものより持ちがいい。国内メーカーが製造した肉団子は、国内で売られているものより海外で売られているものの方が等級が一つ上だ。海外ブランドの軽自動車に品質の問題が起こり、世界で回収(リコール)が行われる場合、同じ車種でありながら中国だけ例外扱いされて回収が行われない…。

多くの消費者が気づいているように、同じ商品、同じサービスでも、国内で見るもの買うものの品質は、往々にして海外よりも劣る。中国はグローバル市場の「品質の窪地」になっているのだろうか。

▽品質に「内外差」あるのは普通か?

海外で販売するものと国内で販売するものと、2つの規準を設け、2つの生産ラインを設置し、一流品は海外で売り、二級品は国内で売る。こうしたやり方は国内の一部産業ではほぼ「慣例」になっている。一部の海外ブランドは国際市場と中国市場で二重の規準(ダブルスタンダード)を採用し、品質に「内外差」があるのはまったく珍しいことではない。

「海外で買ったバスケットシューズは1年履いてもまだしっかりしていたが、国内で買ったものは2カ月もするとだめになってしまった。品質の差は本当に大きい」。北京市朝陽区の大学3年生・徐偉さんはこのように話す。バスケ好きの徐さんは昨年、海外に出かけた時にバッシュを1足買った。海外ブランドだが、原産地は中国で、1年履いても問題はなかった。徐さんの勧めにより、友人が同ブランドで同じくメードインチャイナのバッシュを国内の専門店で買ったところ、わずか2カ月でエアクッションが機能しなくなったという。

▽一連の高品質商品は中国で製造されるが、中国では販売されない

上海市楊浦区の李娜さんは先日日本に出かけた折、日本で人気の炊飯器を購入した。何度か使ってみて、機能がたくさんあり、ごはんがおいしく炊けて、確かに国内で売られている多くの炊飯器よりも優れていると思った。注意深い李さんは、この日本ブランドの炊飯器の底部に、「メードインチャイナ」のラベルがしっかりと貼ってあるのに気づいた。「この中国で作った炊飯器は、中国では買えないのか」と思った李さんは、上海市内の蘇寧や国美などの大手家電量販店を回ってみたが、同タイプの炊飯器を目にすることはなかった。

携帯電話、炊飯器、衣類、靴類、食品、スマート便座…国際市場に出回る多くの製品が「メードインチャイナ」だが、中国で生まれた大量の高品質の製品が、なぜか国内では販売されず、海外市場に運ばれてしまう。中国人消費者がこうした製品を買いたいと思えば、製品の動きを追いかけて海外に行くしかなく、コストがかなり高くつく。

▽一連の海外ブランド 国際市場と中国市場でダブルスタンダード

マクドナルドケンタッキーピザハット…海外では規準をしっかり守る有名ファーストフードチェーンは、中国にくると態度が「だらしなくなる」。食品の安全を守る警戒線がゆるみっぱなしになり、ここ数年は安全性をめぐる事件が相次いで発覚している。2014年に上海福喜食品有限公司は期限を過ぎて品質が変わった原料の肉を大量に仕入れて、上記3社をはじめとするファストフード企業に提供し、大きな問題になった。

中国国際貿易促進委員会の趙萍研究員は、「多くの消費分野で、中国は今、確かに品質の窪地の状態に置かれている。国内の消費者の品質に対する注目度がますます高まっているが、高品質の供給は相対的に不足している。商品とサービスの品質の『内外差』現象が、国内消費市場の受給の不一致という問題をより深刻なものにしている」と話す。

メードインチャイナの一部は中国で販売されておらず、一連の高品質商品は国内市場の発展段階に制約されて価格が高すぎ、国内市場ではほとんど売れない。

上海市浦東新区で農産品メーカーを営む孫偉さんは、「企業が商品を売るとき、売れ行きが好調で、高く売れ、販売のペースが速いところがあれば、企業はそこに行く」と話す。孫さんの会社が生産する一連の高品質農産品は、コストや価格といった要因の影響により、国際市場で売られるものの方が多い。一部の商品は国内で生産しながら、海外で販売され、企業は「需要によって供給を決める」というバランスの取り方をしている。河北省唐山市のスマート便座メーカーの責任者の楊波さんは、「中国人観光客が日本で争ってスマート便座を買うようになるまで、中国ではスマート便座を使っている人は少数だったし、その存在を知らない人もかなりたくさんいて、店にあるスマート便座はすぐに買えるようなものではなかった。また海外ブランドの便座は国内で大規模に商品を提供する土台を備えていなかった。日本での『爆買い』が報道されるようになると、中国人のスマート便座ニーズが隠れたものからはっきりとしたものに変わり、国内のスマート便座は種類が徐々に豊富になっていった」と振り返る。

「一連の高級製品が中国に入ってこない」のは、中国の関連産業の全体的な供給水準がそれほど高くないからだ。

広東省東莞市のスピーカーメーカーの責任者・孫明さんは、「販売戦略を制定する際、ターゲット市場の既存の供給水準が非常に重要になる。ある市場で、企業がコスト50元(1元は約16.6円)でライバルに勝とうとするなら、その企業は60元のコストはかけないだろうし、51元でも出そうとは思わない。中国スピーカー産業はスタートが遅く、有名ブランドが少ないので、一連の国際的ブランドの中級・低級製品が中国に進出し、販売で優位を占め続け、十分な利益を上げている。そして高級シリーズ製品の販売にはあまり熱心ではない」と話す。

江蘇省揚州市の玩具メーカーの郭文さんは、「国内で販売される製品の品質は割引されており、企業はこれで経営のつじつまを合わせている。企業が海外販売製品と国内販売製品を製造する際、方針を決定する要因には大きな違いがある。布製ぬいぐるみペンケースの場合、製造コストに合理的な利潤を加算すれば、出荷価格は4〜5元になる。海外ブランドの委託を受けた製造であれば、ブランド側は出荷時に製品が高い基準を満たしていることを要求するのが一般的で、規準を踏まえて生産を進める。国内の取り次ぎ業者の委託を受けた製造であれば、業者側は価格に注目することが多く、価格に基づいて生産を行う。価格が王様であり、品質を犠牲にすることもあり、原材料や裁断などのレベルが下がることもある」と話す。

一部の国際ブランドのダブルスタンダードは、中国の監督管理システムの不十分さが引き起こしたものだ。

世界最大の小売企業ウォルマートは、中国でたびたび安全性の問題を引き起こしてきた。偽物の「グリーンポーク」や販売期限を過ぎた食品、虚偽の宣伝などの行為が相次いで発覚している。ヴェルサーチ、ルイ・ヴィトン、アルマーニ、シャネル、バーバリー、ディオールといった国際大手ブランドは、いずれも中国での抜き取り品質検査で不合格になったことがある。海外ではルールをしっかり守る国際ブランドが、中国市場に来ると「不良」になるのは、主に違法行為のコストが安いからだ。

一連の海外ブランドからみれば、中国で品質の問題が発覚したとしても、しばらく逃げ回り、わずか数十万元の、時には数万元程度の罰金を支払いさえすれば、順調にやり過ごすことができ、根本的な「痛み」を感じることはない。ウォルマートのチェーンでニセの「グリーンポーク」が売られていた一件は、中国では巨額の罰金と騒がれたが、最終的な罰金額はわずか269万元だった。この程度の金額では、ウォルマートのような重量級多国籍企業に対する抑止効果はまったくないといえる。(提供/人民網日本語版・編集KS)

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