<コラム>金正恩氏の誕生日は「銀河節」に?北朝鮮の新しい祝日を大予想!

北岡 裕    2016年11月19日(土) 16時0分

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前々回、金正恩委員長の誕生日が祝日になるというコラムを書いたがひとつ重大なことを忘れていた。最高指導者の祝日の名称は何になるのか、ということである。写真は金日成広場で公演の練習をする子供たち。筆者が2015年10月に撮影。

前々回、金正恩委員長の誕生日が祝日になるというコラムを書いたがひとつ重大なことを忘れていた。最高指導者の祝日の名称は何になるのか、ということである。

祖父である金日成主席の誕生日は太陽節。父である金正日総書記の誕生日は光明星節。両氏が亡くなった今も両日は北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国で大きく祝う。

それに次ぐ新しい若い指導者を祝う祝日。その名称について最近「銀河節」ではないかという情報に触れた。太陽も光明星も星。星つながりで筋は通っている。ここ数週間、知己のある朝鮮総聯関係者や在日朝鮮人の友人たちに聞いて回ったが「まだ正式な発表はありません」という答えが返って来た。まずは発表を待ちたい。

記念日に合わせての核実験や飛翔体の発射はご勘弁願いたいが、趣味者としては祝賀行事の内容が実に楽しみである。近年平壌では元旦に大規模に花火を打ち上げているが、その一週間後にまた花火というのも面白くない。すると夜会(ダンスパーティ)だろうか。最近ワイドショーでも話題の、牡丹峰楽団をはじめとする楽団の大規模公演が期待できる。当然新曲も出るだろう。最近は新曲も公演の動画もすぐにYouTubeにアップされるようになった。かの国のクリエイターたちは今ごろ新しい祝日に向けてフル回転で働いているに違いない。

祝日がいよいよ近づくと、金日成広場をはじめ平壌市内のあちこちで公演の練習が見られる。街が少しずつ彩られていき、チマチョゴリ姿で歩く女性の姿も目に付くようになる。祝日当日はホテルで働く女性接待員たちも普段の洋装の制服とは違いチマチョゴリを着る。昨年の朝鮮労働党創建記念日がまさに私の帰国日で、顔なじみの接待員に「ぼくの帰国に合わせて着てくれたの?」と朝鮮語でふざけて絡むと「今日は名節ですから」とすまして返しながら「先生!今日帰るのですか!信じられない!」と笑う。私が突然おなかを押さえて「は、腹が痛い。帰国延期だ!」と訴えると「それは大変!案内員同志を呼ばないと!」と軽妙に返してきて、ふたりで大笑いした。

祝日の周辺は外国人観光客も多く訪れる。ホテルのバーは毎晩千客万来で、やり手のママはホクホク顔。拙い英語を駆使して、時に英語に堪能な接待員に朝鮮語からの通訳を頼み未明まで騒いだ。他のホテルの職員たちの表情も普段に比べ明るく交わす会話も軽妙だ。かの国で新たな祝日の登場を特に喜んでいるのは、観光関係の部門かも知れない。

■筆者プロフィール:北岡裕

76年生まれ。東京在住。過去5回の訪朝経験を持つ。主な著作に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」。コラムを多数執筆しており、朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」では異例の日本人の連載で話題を呼ぶ。講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。

■筆者プロフィール:北岡 裕

1976年生まれ、現在東京在住。韓国留学後、2004、10、13、15、16年と訪朝。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。著書に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。

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