八牧浩行 2016年9月29日(木) 5時40分
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東京で開かれた日中有識者会議「東京・北京フォーラム」の「北東アジアの紛争回避と平和秩序への道筋」をテーマとしたパネルディスカッションで、中国側が「日米中3カ国による対話の枠組みをつくることが不可欠」と提案、日本側も賛意を示した。
2016年9月28日、東京で開かれた日中有識者会議・東京・北京フォーラム」の「北東アジアの紛争回避と平和秩序への道筋」をテーマとしたパネルディスカッションで、中国側が「日米中3カ国による対話の枠組みをつくるべきだ」と提案、日本側も賛意を示した。
張沱生・中国国際戦略研究基金会学術委員会主任は「日米中3カ国による対話の枠組みをつくることが不可欠」とし、これによって相互の信頼を醸成し、誤解を減らしていくべきだと主張した。朱鋒・南京大学中国南海研究協同イノベーションセンター執行主任も「日米中」の枠組みは検討に値するとの認識を示した。
田中均・元外務審議官は、北朝鮮問題の解決が日中の共通利益となるとし、日米韓で非核化プログラムを構築する際、中国も参加すべきだと呼びかけた。また「中国も北朝鮮に対して本気で制裁してほしい」と要望、「北朝鮮の体制が崩壊することを懸念しているのであれば、それに対する対処も共に考えよう」と提案。全体的、包括的なシナリオを日中が共に考える時期が到来したとの認識を示した。さらに田中氏は、北東アジアで信頼醸成を深めるために必要な枠組みとして日・中・米・露・韓の「5カ国協議」を提案した。
これに関連して、磯部晃一・元東部方面総監・陸将は「北東アジアの危機管理」を考える上で、北朝鮮問題が最大のポイントになると指摘。北朝鮮に対して強い影響力を持つ中国の関与が不可欠であり、「中国も日米韓の枠組みに加わってほしい」と呼びかけた。
東京・北京フォーラム終了後の記者会見で、日米中による「東アジア安全保障枠組み」について、宮本雄二・元駐中国大使は「米国抜きでこの地域の安全保障を考えることはできない。東アジアでいかなる秩序をつくるかの文脈で出てきた」とし、「日米中」の枠組みづくりに理解を示した。楊伯江・中国社会科学院日本研究所副主任も「中米日のパワーバランスが変化しており、この3カ国が対話することを前向きにとらえたい」と賛成した。
朝鮮半島問題を含む東アジアの安全保障に「日米中」で対応する構想は、毎年開催されている米中戦略対話でも協議されている。米国海軍がハワイ沖で主催するリムパック(環太平洋合同演習)に中国人民解放軍を毎回招待。上海など中国の軍港に米艦船が頻繁に寄港している。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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