京都に残る唐代の面影を見て最初は誇らしかったが、もはやそんな気持ちにはなれなくなった―中国コラム

人民網日本語版    2016年7月31日(日) 14時30分

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陝西省西安市で育った私が初めて京都に行ったのは、確か留学に来たばかりの時だった。地元のタクシー運転手に私が西安出身であることを告げると、意外なことに、運転手はすぐさま私に向かって丁寧にお辞儀をし、私のことを「大先輩」と呼んだ。

陝西省西安市で育った私が初めて京都に行ったのは、確か留学に来たばかりの時だった。地元のタクシー運転手に私が西安出身であることを告げると、意外なことに、運転手はすぐさま私に向かって丁寧にお辞儀をし、私のことを「大先輩」と呼んだ。(文:徐航明。瞭望東方週刊掲載)

私は運転手が、日本の多くの文化は唐の都だった長安から伝わっており、京都の碁盤の目状の区画は長安の市街区画を模したことを言いたかったのだとすぐにわかった。私はその時、京都のいたる所で長安の街の面影が感じられることをとても誇らしく思った。ところが、京都に対する理解が深まるにつれ、その誇らしい気持ちは徐々に小さくなっていった。

仕事の関係上、私は電機メーカーに注目していた。近年、日本の大手電機メーカーであるソニーや東芝などは業績の低迷が目立つが、村田製作所、ローム、京セラ、島津製作所、オムロンなどの世界的に有名な電子部品メーカーの業績は好調だ。これらの企業はすべて京都に本社をおく「京都の企業」だ。詳しく分析してみると「京都の企業」には多くの共通点があることがわかる。

例えば、これらの企業の多くは電子部品メーカーだ。私たちが使っている携帯電話には、京都の企業でデザイン・製造された部品がほとんど入っている。ほかの共通点としては、家族経営の企業が多数を占め、伝統産業の流れを汲んでいることだ。例えば、村田製作所は伝統的な陶器製品からセラミックを扱う企業へと発展した。

さらに、「京都の企業」は開発研究に力を入れ、業界内でトップを行く技術と製品を有している。島津製作所には田中耕一という普通のエンジニアがいたが、2002年にノーベル化学賞を受賞し、企業の技術の高さを証明した。

「京都の企業」は目立たないが、どうして成功しているのだろうか。個人的な意見だが、これは京都の人々の精神と関係があるように思える。京料理は日本の伝統料理の代表であり、あっさりとした上品な味で知られている。京料理店のほとんどが、数十年もしくは100年以上続く老舗だ。京料理は材料にこだわっており、使用する「京野菜」や「京豆腐」はしばしば高い質の品を表す言葉となっている。

2015年10月に発表されたミシュランガイドによると、京都のレストランの中で三ツ星を獲得したのは7軒、二ツ星は25軒、一ツ星は68軒で、星を獲得したレストランの軒数は世界第3位となった。

京都のハイテク企業と京料理には2つの共通点が存在する。1つ目は品質重視。京料理においては、繊細な調理方法で上質な材料の本来の味を引き出している。電子部品においては、高性能の素材を使用し、高性能な部品のデザイン・製造を行う。2つ目は「地道な」経営だ。急激な前進を求めず、着実に業績を伸ばしていく。

これらの共通点は京都の「職人文化(同志社大学教授・村山裕三著『京都型ビジネス―独創と継続の経営術』より引用)」と呼ばれる精神である。高層ビルが果てしなく立ち並ぶ西安に比べ、京都は古めかしく、やや老朽化している感じさえ受ける。しかし、西安がサムスン電子の半導体工場を誘致しようとしていたとき、京都のハイテク企業はすでにスマホの次に狙う自動車向け部品や医療機器の部品に着手していたのだ。その点を考えると、もう誇らしく思う気持ちにはなれないのだ。(提供/人民網日本語版・編集YK)

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