駐日EU大使、日本との戦略的パートナーシップ強化を訴え=英国民投票結果は衝撃的、「秩序だった離脱」を!

八牧浩行    2016年7月6日(水) 5時50分

拡大

5日、ブドゥラ駐日EU(欧州連合)大使が記者会見。英国のEU離脱問題について見解を明らかにした。また日本との戦略的パートナーシップを強化し、科学、サイバー、宇宙など多分野での協力のほか、EPAの早期締結を推進したいと語った。

(1 / 2 枚)

2016年7月5日、ヴィオレル・イスティチョアイア・ブドゥラ 駐日EU(欧州連合)大使(元駐中国ルーマニア大使)は日本記者クラブで会見、英国のEU離脱問題について見解を明らかにした。英国の国民投票結果は衝撃的な出来事だったとしながらも、「EUには明確なルールが存在する。秩序だった離脱でなければならず、法的な安定性の確保が重要だ」と強調。さらに日本との戦略的パートナーシップを強化し、科学、サイバー、宇宙、エネルギーなど多くの分野での協力のほか、EPA(経済連携協定)の早期締結を推進したいと強調した。

その他の写真

会見要旨は次の通り。

EUには複合的な背景がある課題がある。経済成長を取り戻さなければならず、移民問題など課題も抱えている。

英国の国民投票で「離脱」が多数を占めたことは残念な結果で、衝撃的な出来事だった。EUは民主主義を標榜しており、投票結果を尊重し受け入れる。煽情的な反応も見られるが、今後EUの将来にどう影響するか、大局的な観点に立って次の2点を基本に対応していく。

(1)新しい事態に対応するために、EUには明確なルールが存在する。秩序だった離脱でなければならず、法的な安定性の確保が重要だ。EUは平和、繁栄といった共通の価値観を持ち、第2次大戦後の和解、民主主義強化などの経験を共有している。EUは過去だけの存在でなく現在、未来に関わっている。

英国以外のEU 27カ国は最近開催されたブリュッセルでの会合で、「全会一致で対応すること」を決定した。EU首脳は9月の会合で今後の欧州再活性化を話し合う。欧州議会でも、英離脱問題を討議する。

(2)EUは英国の離脱後も、4億4000万人を擁する開放的で魅力的な市場であり続け、世界で重要な役割を果たす。成長、投資、貿易などを含め、国際秩序の提唱者であり続ける。

英国の離脱でEU内のパワーバランスが変化するとの見方があるが、民主主義のプロセスを踏むのでその考え方は賛成できない。新しい事態にどうEUを調整していくか課題だが、27の国が様々な力に応じて尊重し統合が進むようにする。

来年には加盟国で選挙など政治日程が予定されている。雇用、経済成長、科学、エネルギーなどが主要テーマとなる。グローバル化競争にいかに打ち勝つか、移民問題も含めオープンかつ民主的な討論を通じて対応していきたい。平和と安定のリソース(基盤)がEUにはある。

EUと日本の戦略的パートナーシップをさらに強化したい。科学、サイバー、宇宙、エネルギーなど多くの分野で協力できる。英離脱投票のあと岸田文雄外相とも協議した。日EU間のEPA(経済連携協定)をできるだけ早く締結することで一致している。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

この記事のコメントを見る

在中、在韓日本人の情報大募集!
あなたが知っている中国や韓国で奮闘中の日本人をご紹介ください!ご連絡はこちらまで

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携