人民網日本語版 2016年6月14日(火) 19時0分
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現在中国の所得水準はすでに中所得国のレベルに達している。総合的にみて、あと6、7年の間に「中所得国の罠」を抜け出し、高所得国の仲間入りを果たすことに何ら問題はないだろう。資料写真。
現在中国の所得水準はすでに中所得国のレベルに達している。総合的にみて、あと6、7年の間に「中所得国の罠」を抜け出し、高所得国の仲間入りを果たすことに何ら問題はないだろう。問題は高所得レベルに達した後も中国は欧米先進国との間に依然として大きな差が存在するという点だ。このため、長期的な視点から、現段階で構造調整を強化し、成長のエネルギー源を再構築し、「中所得国の罠」を乗り越えた後も中国に依然として力強い発展のエネルギーを保持させなければならない。中国経済の長期的な趨勢はどうなるのだろうか?中所得国から高所得国への過渡期において、どうすれば力強いエネルギーを保持し続けることができるだろうか?中国の実践と経験、「中所得国の罠」を乗り越えることに成功したエコノミーの経験をまとめれば、啓発を得られるのではないだろうか。人民日報が伝えた。(文:鄭秉文・中国社会科学院中国特色社会主義理論体系研究センター研究員、米国研究所所長)
▼低所得国から高所得国までの4段階の中国経済発展の見通し
世界銀行による4つの所得における区分を参考にすることで、1978年以来の中国経済の発展段階を対応する区分に定義し、その将来的な予測を行うことができる。世界経済における経験と中国の実情を照らし合わせ、この4段階を分析すると、中国はすでに「中所得国の罠」を乗り越えるための基本条件を整えていることがわかる。
第一段階は1978年から1998年までの低所得段階。この時期、中国の一人当たり国民総所得(GNI)は190 ドルから820ドルまで成長し、20年間で低所得段階から抜け出している。この過程において、社会主義市場経済体制の改革は経済成長の根本的なエネルギーとなり、農村請負制から国営企業の改革、財産権の明確化、競争メカニズムの導入に至るまで、市場メカニズムの作用の下、生産力の発展潜在力を次々と開放していった。
第二段階は1999年から2009年までの低中所得段階。この時期、中国の経済成長の典型的な特徴は労働、資本、土地、その他自然資源など有形的要素の投入を拡大し続けたことで、成長エネルギーは主にこれら要素の駆動によるものだった。この段階では、労働集約型製品の輸出を主とした対外貿易が重要な成長エンジンとなり、外貨準備高が十数倍に増加し、投資率も高い数値を保持し続け、不動産業が国民経済の支柱産業となった。しかしながら、大量の投入と高い成長率は資源環境という代価を支払わなければならず、成長を持続できないという矛盾が目立ち始めた。
第三段階は2010年から2023年前後までの中高取得段階。2010年、中国は中高所得段階に達した。同時に経済成長のスピードは高速成長から中高速成長に切り替わり、経済の発展状況は新常態に入った。中高速成長に基づき推測すると、中国がこの段階を抜けるのには約13年の時間を要する。中高所得段階においては、伝統的な要素の優勢は次第に失われ、大規模な投入もまた制約を受けるようになる。成長スピードは減速し、迅速な生産率の向上と、粗放型成長モデルから集約型成長モデルへの転換、要素駆動からイノベーション駆動への転換が必要となる。そのため、党中央は直ちに供給側の構造改革を推進し、過剰な生産能力の調整、在庫消化、レバレッジ解消を通じて供給側の質と効率を向上させ、コスト削減と弱い部分の補完を通じて企業の生産率、投入産出率と競争力を向上させている。供給側の構造改革を推し進めることは、中高速成長のスピードと「中所得国の罠」を乗り越えるための生命線を確保することにつながる。
第四段階は2024年頃から始まると予想される高所得段階。高所得国は先進国であるとは限らない。先進国になるためには総合的な評価システムに適合しなければならず、その一つの目立った特徴としては技術イノベーションタイプの国家であることが挙げられる。技術イノベーションを駆動とし、根本的な成長エネルギー源とする必要がある。現在、中国の技術イノベーションの経済成長への寄与度はすでに55.3%にまで達しているが、しかし先進国家レベルからすると依然として低い数値となっている。イノベーション発展は党中央が提起した新発展理念の第一条であり、イノベーション能力の向上は供給側の構造改革の重要な内容となっている。これら新理念と新措置は中国の現状の問題を解決していくだけでなく、長期的な発展を実現していくものだ。これらの新理念と新措置を徹底し、自国のイノベーション能力の向上に努力し、イノベーション駆動による発展戦略を実行し、イノベーション型国家の建設を加速することで、初めて今世紀半ばまでに先進国家レベルに達するという目標を順調に実現することができる。
▼高所得のハードルを越えた上で、中進国への道を邁進
中国は世界銀行が定める高所得国家のハードルを越えた後も引き続き長い道のりをゆっくり歩み続けなければならない。現在、高所得のハードルは一人当たり国民総所得1万2600ドルとなっているが、米国はすでに5万5000ドルに達しており、ルクセンブルクは11万ドルとその差は非常に大きい。中国にとって「中所得国の罠」を乗り越えた後の次の目標は「中進国」への道を邁進することだ。中進国の目標は1980年代末にトウ小平(トウは登におおざと)氏が「三歩走発展戦略(三段階の発展戦略)」の中で初めて提起した。国民一人当たりの指標からみると、中進国はおよそ2015年に韓国が達成した一人当たり国民総所得2万7000ドルのレベルに相当する。中速の成長スピードで、物価要素を排除した場合、2035年前後までには中国の一人当たり国民総所得が2万6000ドルから3万ドル(2015年レート)に達するだろう。これは中国経済が再び経験することとなる重要な段階であり、改革開放以来の経済発展における「第五段階」であると言える。高所得国の列に加わり、中進国への道を邁進する上で、さらに大きな挑戦を迎えることになろうとも、中国の特色ある社会主義路線を堅持していけば、必ずや目標実現に成功するに違いない。また前述したエコノミーの発展経験から、中国は下記3点の啓発を得られる。
1つは欧米先進国の経験から、経済の発展に伴い、イノベーション駆動の重要性がますます明らかになり、要素駆動を主とした成長はイノベーション駆動を主とした成長に転換する必要がある点。中国は科学技術イノベーションを非常に重視し続けており、毎年巨額を投入している。高所得段階に達した後、イノベーションを推し進めるには全社会のパワーを投じる必要があり、イノベーション駆動の成果は全要素生産性の向上の有無によって試される。高所得段階になればなるほど、イノベーションの経済成長への寄与度を向上させる必要が生じる。
2つ目は、第二次世界大戦後に高取得段階に達したエコノミーの重要な経験として、対外開放の堅持と市場経済の実行が挙げられる点。そしてこの2点は過去30年余りにわたり中国経済がスピーディな成長を遂げた基本的な経験でもある。前者は外的条件で、後者は内的条件である。高所得段階に達した後、この2つの基本的な経験は依然として経済成長の駆動として欠かせない二つの車輪であり、一つも欠けてはならない。
3つ目は「中所得国の罠」を乗り越えて中進国への道を目指す上で、経済のポテンシャルをより一層解放し、経済の持続的な発展を支えるため、ソフト・パワーの増強に努力しなければならない点。ソフト・パワーとは無形的要素に属し、高所得段階において、その重要性は有形的要素に劣らない。ソフト・パワーの増強は主に制度と文化の構築から成り、これは一朝一夕で成し遂げられるものではない。そのため、現時点から一層重視することで、中進国入りと二つ目の百年奮闘目標達成の重要な土台となる。制度と文化のイノベーションを推し進め続けることで、中国のソフト・パワーはより強く、確固としたものになるだろう。(提供/人民網日本語版・編集/TG)
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