<インタビュー・台湾政権交代(3/6)>蔡英文氏は経済を重視、馬英九政権の対中政策踏襲へ=日台関係はより親密に―元台湾工商協進会理事長

Record China    2016年5月18日(水) 6時0分

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台湾工商協進会理事長を務めた黄茂雄・東元集団会長は、蔡英文氏は経済を重視しており、馬英九政権の対中政策を継続することになると言明。同時に投資や製造拠点の東南アジアへのシフトを推進し、日台関係も「親密になっていく」と予想した。

台湾では5月20日、馬英九国民党政権から蔡英文民進党政権に交代する。これを前に、政官財言論界の有力者6人にインタビューした。台湾経済界の重鎮で、日本の経団連会長に相当する台湾工商協進会理事長を務めた黄茂雄・東元集団会長は、蔡英文氏は経済を重視しており、馬英九政権の対中政策を継続することになると言明した。同時に、中国への一極集中を是正するため、投資や製造拠点の東南アジアへのシフトを推進し、日台関係も「ますます親密になっていく」と予想した。(利き手・ジャーナリスト相馬勝)

――蔡英文・民主進歩党主席がいよいよ台湾総統に就任しますが、黄会長は蔡氏の課題は何でしょうか?

黄茂雄会長=やはり経済でしょうね。国民党の馬英九総統は経済がうまくいきませんでした。まずは、台湾の人々の賃金を上げることや貧富の格差を是正することが重要です。そのためには、付加価値を上げる製品を作らなければなりません。これまでのように、中国大陸に工場を建てて、多くの労働者を雇って、単純作業で製品を製造するというようなことではだめですね。

――しかし、中台間の経済的な交流に限れば、台湾の輸出の4割、対外投資の7割が中国向けで、台湾の主要な製造業は中国に工場を建設し操業しているほか、100万の台湾人が中国で経済活動に従事しているだけに、台湾の中国依存は明らかです。

 

黄会長=これは日本も同じでしょう。かなり、中国経済に依存しています。台湾もそうですが、台湾の場合、中国偏重が著しいでしょう。中国への一極集中を是正していかないといけません。ですから、蔡英文氏は「新南向政策」を掲げています。投資や製造拠点の東南アジアへのシフトです。蔡英文氏は陳水扁政権時代の2000年から04年までの4年間、行政院大陸委員会主任委員(閣僚級)を務めており、中国問題には詳しいので、対中政策の問題点も熟知しています。馬英九総統がとってきた対中政策を続けていくのではないでしょうか。

 

――経済と中国がネックというわけですね。

黄会長 蔡英文氏は英国の大学で博士号をとっていますが、専門は国政経済法ですね。その後、大学でも教えています。それと、蔡英文氏は首相に林全氏という行政院財政部長(閣僚級)を経験している経済のプロを指名しています。そういうことからも、蔡英文氏は経済政策を重視していることの現れです。

 

――TPP(環太平洋連携協定)にも加盟する意向と言われていますね。

 

黄会長 経済的に中国偏重を避けるために、米国主導のTPPには入りたいところです。先ほども言いましたが、台湾企業は中国から東南アジアに生産拠点を移しています。さらに、米国主導のTPPに加盟することでチャイナリスクを分散したいところです。蔡英文氏は米国との関係を重視しています。

 

もちろん、日本も米国同様、非常に重視しています。蔡英文政権下では、日本との経済的なつながりが強くなるのは確実でしょうね。そのために、謝長廷氏という民進党の主席も務めた大物政治家を台北駐日経済文化代表処代表に内定しています。日台関係はますます親密になっていくことは間違いありません。

<4/6>に続く

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