日本企業再生の鍵は「オープンイノベーション」=「自前主義」排して業種の枠超え、連携を―産業革新機構会長兼CEO

八牧浩行    2016年2月23日(火) 11時20分

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志賀俊之・産業革新機構会長が、記者会見。「日本では業種ごとに多くの企業がひしめいており、過当競争が展開され、再編が進んでいない」と指摘。今後の企業経営は、従来の業種や企業の枠を超えて連携する「オープンイノベーション」が重要な鍵となる、と強調した。

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2016年2月19日、志賀俊之・産業革新機構会長兼CEO(日産自動車副会長)が、日本記者クラブで会見した。「日本では業種ごとに多くの企業がひしめいており、過当競争が展開され、再編が進んでいない」と指摘。今後の企業経営は、従来の業種や企業の枠を超えて連携する「オープンイノベーション」が重要な鍵となる、と強調した。

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同機構は国と民間が出資する官民ファンド(出資金3000億1000万円)で、ベンチャー企業の育成や企業の事業再編を通じて、日本の産業競争力を向上させることを使命としている。15年間の時限立法で2009年に発足した。発言要旨は次の通り。

日本企業は基礎技術から応用技術まですべてを自前で手掛けてきたが、世界の技術進化にキャッチアップできない時代になった。従来の業種や企業の枠を超えてチャレンジをする「オープンイノベーション」が今後の企業経営の重要な鍵となる。

大企業が優れた技術をもったベンチャーと提携したり、大学と共同開発したりする。大企業同士でも部門ごとに手をつなぐ。自前主義を脱して、他者と連携することでイノベーションを起こすという手法がオープンイノベーションだ。

日本では業種ごとに多くの企業がひしめいており、過当競争が展開され、再編が進んでいない。健康体のうちにオープンイノベーションを実現するべきである。

例えば自動車業界では、大手メーカーの下に部品メーカーが多く存在する。バッテリーメーカーだけでも10社ぐらいある。ソフトウエアに強い米グーグルアップルが、自動車業界への進出を目指している。ハードウエアに強い既存自動車メーカーとの主導権争いが今後激化するのは避けられない。

自動車メーカーは機械工学専攻の人を採用してきたが、コンピューターサイエンスの知識が必要となる。自動車メーカーだけで勝ち抜くという発想ではダメだ。AI(人工知能)の分野も必要となった。日本の自動車メーカーが従来強かったのは、研究開発から生産まで三位一体でやってきたためだが、今ライバルは電気自動車の米テスラであり今後はグーグル、アップルになる。「オープンイノベーション」で産業の新陳代謝を進めるべきである。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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