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日本に嫌悪感を抱いていた私の偏見は、日本人の先生によって崩された―中国人学生

日本僑報社    2016年2月12日(金) 4時30分

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日本と中国の歴史が現在の日中関係にも暗い影を落とす中、青島農業大学の呉智慧さんは先入観で物を見ることなく、実際に体験してみることが何より大事だと主張している。写真は茶道。

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日本と中国の歴史が現在の日中関係にも暗い影を落とす中、青島農業大学の呉智慧さんは先入観で物を見ることなく、実際に体験してみることが何より大事だと主張している。

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「あの時、日本の倭寇が中国人にどんなことをしたのか、まさか忘れてるわけじゃないだろう!外国語が好きなら、英語にすりゃいいんだろう、なんで日本語なんかやるんだ!」大学入学のお祝いにきていたおじさんは、私の専攻が日本語だと分かったとたん、かんかんになって祝儀袋を投げるようにして帰っていきました。私は呆然としてしまいました。

しかし、おじさんが怒ったのも無理はありません。1562年の倭寇の侵略のせいで、3万人もの同胞がなくなってしまったのです。それだけではなく、1931年の満州事変や1937年の南京大虐殺などで、日本といったらなんとなく嫌悪感を抱いてしまいます。中国にはおじさんのように、過去の歴史に引きずられている人がいっぱいいます。私もその一人でした。

そんな私は日本語に出会い、日本人に出会ったことで、日本人にも親しみを持つようになりました。私を変えたのは2年生になった時、初めて出会った日本人の諏訪友子先生でした。先生はいつも笑い、見たこともない優しさで日本語を教えてくれました。そして、授業の前にいつも日本語の歌を教えてくれました。おかげで、私たちは気楽な雰囲気で授業を受けられ、授業の内容もちゃんと頭に入るようになりました。

ある日、寮に戻る時、先生に会いました。「先生、日本語の勉強は本当に難しいですね。最近、『日本事情』の授業で茶道を勉強しましたが、懐石とか、茶筅(ちゃせん)とか、見たこともないから、茶道の魂がやはり分かりません」「そうですね、難しいですよね」。その時、先生は特にアドバイスもせず、一言あいづちを打っただけでした。

ところが、その週末から、先生は日本文化の理解に苦しむ私たちのために、週末も休むことなく、ご自宅で文化体験を兼ねた勉強会をやってくれました。着物、茶道、更には百人一首や日本映画、お菓子、日本のゲームまで…。そのおかげで、いろいろな日本の伝統文化を理解し、楽しい思い出がいっぱいできました。私から見れば、先生は魂で授業をしていた人です。時間が経つにつれて、先生のその笑顔や優しさ、温かさで私の心の氷が少しずつ溶かされていることに気づきました。日本人への偏見の壁も少しずつ崩れていきました。そんな日本語の先生に、私はありがたい気持ちでいっぱいになりました。

先生がご主人の急病で日本に帰ることになった時、先生はこう言いました。「私ね、初めて中国に来る時、本当に不安だったの。中国語もできないし、日中関係も変わりやすいでしょう。でも、実際に来たら、中国人はみんな優しくて親切でした。来て本当によかったです。この2年間いろいろとありがとう。日本に帰ったら、優しいみんなのことを日本人に伝えたいです。ありがとう!」。先生を見送る私の目には、熱いものがこみ上げてきました。

確かに過去のことは忘れてはいけません。しかし、前の世代の感情を引き継ぎ、前向きな考えを持たないのもいけません。先入観で作り上げられた日本人のイメージで判断するのではなく、そのものの中まで溶け込んで、自ら感じ取ることが必要なのではないでしょうか。(編集/北田

※本文は、第八回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?」(段躍中編、日本僑報社、2012年)より、呉智慧さん(青島農業大学)の作品「心の『ゴミ』を捨てよ」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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