日本僑報社 2015年10月14日(水) 8時45分
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日本と中国のものづくりには、どのような違いがあるのか。東北育才学校の碩騰さんは、日中両国の道路工事を比較している。資料写真。
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インドネシアの高速道路建設を中国が受注することが決まった。中国当局が高速鉄道の経験と技術に自信を見せる一方、日本からはその安全性を疑問視する声もあがっている。日本と中国の「ものづくり」には、どのような違いがあるのか。東北育才学校の碩騰さんは、日中両国の道路工事を比較している。
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日本と中国のものづくりの違いについて、初めて考えたのは中2の時だった。当時、家のそばの道を2年ぶりに修復することになったのだ。毎日学校へ行く時、回り道をしなければならなかった。幸いにも3日後には、道路工事が終わり、道は正常に戻った。だが、半月後、その道は再び壊れて修復することになった。
ちょうどそのころ、中国人の日本語の先生が、授業で日本での体験を話してくださった。ある朝、アルバイトへ行く先生は道路工事を見かけた。中国的に考えて「1週間以内には終わるだろう」と思った。ところが、夕方帰宅する時に見ると、工事はほんの数メートルしか進んでいなかった。作業員たちは毎日一生懸命に働いて、1カ月もかかってやっと終わった。このような丁寧な工事のおかげか、先生の帰国までの数年間に道路は老朽化することなく、修復など一度も必要なかったそうだ。
その話を聞いたとたん、私はすぐ家のそばの道のことを連想した。「不幸な道ね。日本だったら長寿になれたのに」とその当時の私は、ただその幼い感想を持つのみだった。しかしながら今は、嫌でも中国と日本のものづくりの違いについて、真剣に考えざるを得ない。
最近こんなことがあった。私たちの学校は建ってまだ間がない。ところが、新しい壁のあちこちのペンキがはがれて、ぽろぽろ落ちてくるのである。日本人の先生の話では、それはコンクリートの壁にシーラーという下地が塗られなかったせいだ。コンクリートにペンキを直接塗れば、剥がれるのは当たり前のことなのだそうだ。しかし、利益優先の業者が時間と経費を節約するために手抜き工事をしたのだろう。おそらく、これはわが校だけではないだろう。いや、中国が急速に世界進出を果たしつつある今、国際的なものづくりの大問題であると思う。
わが国の手抜き工事に憤慨すると同時に、私は日本のものづくりに感心している。先日のことである。授業でNHKの「プロジェクトX」という番組を見た。ホンダが世界で一番厳しい排ガス規制「マスキー法」をクリアするためにいかに努力したかという番組だった。アメリカのビッグスリーはそろって「不可能だ」と言った。しかし、本田宗一郎社長は「これはわが社にとって千載一遇のチャンスだ」と言って社員を励ました。ホンダは苦心して、ついに開発に成功した。
しかし、私が最も感動したのは、社員たちが社長に反発して言ったその言葉だった。「我々が努力しているのは会社のためではない。社会のためだ」この言葉は本当のものづくりとは何かという精神を表していると思う。
ものを作るのはお金儲けのためであってはならないと思う。メイドインジャパンが優れているのは、ホンダがそうであったように、無私な初志と一生懸命に頑張るやる気が生きるからである。そうであるからこそ、世界市場で現在の不動の地位を獲得していると言っても間違いではないだろう。わが国は今、急速な発展を遂げつつある。メイドインジャパンを愛用すると同時に、日本や世界との技術提携を強め、わが国のものづくりを改善していく必要がある。(編集/北田)
※本文は、第六回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「メイドインジャパンと中国人の生活」(段躍中編、日本僑報社、2010年)より、碩騰さん(東北育才学校)の作品「日中両国のものづくり」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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