日本僑報社 2015年10月9日(金) 5時38分
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華東師範大学の朱樹文さんは、微妙な関係が続く日中関係について、自身が日本を訪れた体験から、実際に自分の目で見て先入観をなくすことが重要だと考えている。写真は横浜。
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10月1日から始まった国慶節の連休では、多くの中国人観光客が日本を訪れると見られている。しかし、日本を訪れるのは中国人全体から見ればほんの一部だ。華東師範大学の朱樹文さんは、微妙な関係が続く日中関係について、自身が日本を訪れた体験から、実際に自分の目で見て先入観をなくすことが重要だと考えている。
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昨年の10月、私は日本の大学との短期交流に参加して、横浜に一週間滞在した。この交流を契機に、私は初めて日本に行った。予約していたホテルに到着したときはもう夕暮れだった。普通の旅行ではないから、観光できる時間は少ない。私は観光の時間を1分も無駄にしたくなかった。そこで、ホテルに荷物を預けてまもなくホテルのロビーにおいてあった地図を手に取り、横浜の観光地に向かって出発した。
ホテルを出発してしばらくの間は、地図を見ながら歩いていたが、周囲の店に目を惹かれているうちに道に迷ってしまった。不安になり、観光地に行く計画もあきらめることにした。夜に異国で道に迷ってしまい、しかも中国から持ってきた携帯電話も使えなかった。中国でも道に迷った経験がなかった私にとって、最悪の状況であった。
なかなか正確な方向を見つけられず、周囲の日本人に助けてもらうしかなかったが、私は迷っていた。日本人に先入観があったからである。私の頭の中の日本人はいつも礼儀正しいが、冷淡で人との間に距離感がある印象を持っていた。「声をかけて本当に助けてもらえるだろうか」と何度もつぶやいていた。
するとその時、ある日本人の夫婦が私の目に入った。優しそうな感じがしたので、私は勇気を出して声をかけてみた。緊張していたためかもしれないが、私の日本語はめちゃくちゃになった。しかし、日本人の夫婦は面倒そうな表情はひとつもせず、私が何を言いたいのかを理解できるまでずっと私の話を聞いてくれた。その夫婦は私の地図にホテルに戻る道筋を描いてくれた。私は何度もお礼を言い、彼らと別れた。
ところが、別れてまもなく、またその夫婦と会うこととなった。ばったり出会ったのではなく、外国人の私がホテルに戻れないのを心配し、追いかけて来てくれたのであった。「ホテルまで送ってあげましょうか」と言われたとき、日本人に対するかつての先入観はすべてなくなった。日本人の見知らぬ人がまさかこのようなことをしてくれるとは夢にも思わなかった。このことを通して、「日本人は私が思っていたような冷淡な様子ではなく、こんなに親切なのか」と感じた。まさに百聞は一見に如かずである。
日本語を勉強している私まで日本人に先入観を持っているのだから、ほかの中国人は更に強い偏見を持っているのではないだろうか。日中友好を促進させるためには、日本人に対する先入観をなくすことが非常に重要である。旅することによって、その国に対する先入観をなくすことや理解を深めることなどができる。ただそれは少数の中国人ができることである。幸いなことに、私はその少数の中の1人である。これから、私は可能な限り、自分の日本での経験をほかの中国人に語ることによって、彼らの日本人に対する先入観を変えるつもりである。日本に対する先入観がなくなれば、日中関係も一層良くなると信じている。(編集/北田)
※本文は、第九回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国人の心を動かした『日本力』日本人も知らない感動エピソード」(段躍中編、日本僑報社、2013年)より、朱樹文さん(華東師範大学)の作品「百聞は一見に如かず」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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