八牧浩行 2015年9月29日(火) 8時3分
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米NYタイムズのトンプソン社長兼最高経営責任者(CEO)は日本記者クラブで講演し、フェイスブック(FB)やアップルなどIT企業やネット・SNSユーザーとも連携。5年以内にデジタル分野の収入が紙の新聞の収入を上回る、との見通しを明らかにした。
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2015年9月25日、米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)のマーク・トンプソン社長兼最高経営責任者(CEO)は日本記者クラブで講演し、「ニュースを取り巻く環境が変化し、紙、スマートフォン、タブレットなど多くの媒体が混在する状況が続く」と指摘した。フェイスブック(FB)やアップルなどIT企業と提携しているほか、インターネット・SNSユーザーとも連携。5年以内にデジタル分野の収入が紙の新聞の収入を上回る、との見通しを明らかにした。
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トンプソン氏はBBC(英国放送協会)会長を務めた際、インターネットでの番組視聴サービスの導入やデジタル化のための組織再編を推進。2012年にNYT社長に就任し、電子版をはじめとする新戦略のかじ取りを担っている。同社長の発言要旨は次の通り。
紙面はブランド保持の観点から重要であるが、収益面で急成長しているのは電子版である。購読者は、紙の100万に対し、デジタルは110万に達した。紙の読者の9割が電子版などに登録する一方、紙面だけを読んでいる読者は激減している。電子版の売り上げは、2010年の2億ドルが現在4億ドルに倍増し、ニュースを取り巻く環境は変化している。紙、スマートフォン、タブレットなど多くのプラットフォーム(媒体)が混在する状況が続くとみられる。
「ジャーナリズムの質」は最も重要だが、ベストのジャーナリズムを追求していれば十分という時代ではない。質を確保しながら「実験」、「開放」「イノベーション」の精神で取り組みを続ける。媒体(プラットフォーム)に応じてニュース提供の在り方を最適化し、紙とデジタルの双方を組み合わせることが重要である。積極的にオーディエンス(インターネットやSNSのユーザー)にアクセスし、新たな関係を作っていかなければならない。それぞれの媒体が得意な点を生かして連携する「クロスプラットフォーム戦略」を推進している。
NYTはニュースのスマホ配信分野で、フェイスブックやアップルなどのIT企業と提携している。さらに、国際市場で売り上げアップを目指しており、5年以内にデジタル分野の収入が紙の新聞の収入を上回ると見込んでいる。
(日本経済新聞社による英紙フィナンシャル・タイムズ買収について)日経新聞はグローバルな能力を素早く取り込みたかったのではないか。かなり高い買い物だったかもしれない。NYTとしては既存のメディア企業を買収する考えはない。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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