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<中国は今!>軍事パレードで市民生活や観光客に大きな影響―突然のホテルキャンセル、連絡なし

Record China    2015年8月23日(日) 13時47分

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「9月は軍事パレードで大変なことになりそうですよ」。北京の知人から、こう連絡があった。

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「9月は軍事パレードで大変なことになりそうですよ」。北京の知人から、こう連絡があった。今年は抗日戦争などの「戦勝70周年」に当たり、9月3日に北京中心部の天安門広場周辺を含む長安街(通り)で大規模な軍事パレードが行われることから、市民や観光客にも大きな影響が出そうだというのだ。

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8月20日から軍事パレード当日まで自動車のナンバーの末尾が偶数か、奇数かによって市内の通行を日替わりで制限。車両の通行量を減らして、排気ガスの量を抑えて、当日を青空にしようというわけで、工場や企業の生産活動も制限する。昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)開催時も同様の規制を行い見事「APECブルー」と呼ばれる青空を手に入れたことに味を占めている。しかもAPEC当時の制限は10日間だったが、今回は15日だけに、習近平(シー・ジンピン)主席がどれほど軍事パレードを重要視しているかが分かる。

すでに9月3日午前中の空港の使用は禁止されており、同日午前便は事実上のキャンセルとなる。

私も9月3日を含む3泊4日で北京に滞在する予定だ。すでに3カ月も前に長安街沿いの北京飯店系列のホテルを予約していたのだが、中国当局からの命令で、通り沿いの北京飯店など中国資本のホテルは8月31日から9月5日まで閉鎖することになったという。

当局の通告は7月10日で、それまで何の前触れもなかったらしい。私も知人から、この連絡を受けて、慌てて旅行会社に電話し、他のホテルを予約し直してもらった。この間、ホテル側から旅行会社に一切連絡はなかったという。まさに有無を言わせぬキャンセルだ。何も知らずに当日、ホテルに行っていたら、どうなっていたか。想像するだに、恐ろしい。

とはいえ、いかに中国当局とはいっても、外資系ホテルには「閉鎖しろ」とは命令できなかったようで、何とか代わりのホテルをとれただけでも良かったというべきか。ただ、旅行会社の担当者は「軍事パレードが行われる長安街沿いに面している部屋は使用禁止で、パレードのある3日はホテルからの外出禁止通達が出る可能性があるのをご承知おき下さい」と私に念を押していた。

どうせ、軍事パレードはテレビで生中継されるのだから、ホテルの部屋から高みの見物をしていても問題はないと思うのだが、こういう高圧的な態度をとるところに、中国共産党の一党独裁的な強権体質が現れているというのは言い過ぎだろうか。

ちなみに、中国では9月3日から5日まで祭日扱いで3連休とし、さらに上海深セン両証券取引所も3日から6日までは休場と決まった。そういえば、7月上旬の両市場の株価の大幅な下落の際も、当局は両市場の上場銘柄の71%に当たる1300以上の銘柄を取引停止にしたが、これは世界の市場関係者を驚愕させた。いわば「禁じ手」であり、「超法規的措置」と言ってもよいだろう。

そういうことが許されるところが、いまの中国の中国たるゆえんで、これまで散々言われてきた「中国バブル崩壊」が回避されている大きな理由かもしれない。

◆筆者プロフィール:相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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