日本僑報社 2015年7月5日(日) 14時20分
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ドラえもんが中国人に人気である理由について、北京第二外国語大学大学院の呉亜楠さんは独自の視点で分析している。写真は映画「STAND BY ME ドラえもん」のポスター。
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中国で約3年ぶりに公開された日本映画「STAND BY ME ドラえもん」が、公開4日目で興収3億元(約60億円)を記録するなど大人気だ。ドラえもんは以前から中国人に人気のアニメだが、北京第二外国語大学大学院の呉亜楠さんはその理由について、独自の視点で分析している。
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子供のころからよく日本のアニメを見る。中でも特に好きなのは「ドラえもん」である。小学校3年生か4年生の時、放課後、テレビをつけて「ドラえもん」を待っているのが私の日課であった。
なぜ好きなのかというと、以下の3点が挙げられると思う。まずは、その当時の中国製のアニメより登場人物の表情が豊かで、動作も細かく表現されていることだ。これは「ドラえもん」だけでなく、日本のアニメに共通している特徴だと思う。もちろん動画製作の技術レベルの差が考えられるが、もうひとつの原因は日本人の「繊細さ」と言えるかもしれない。中国人の大まかな表現とは対照的に、日本人は人々の言動や表情など細かいところまで見逃さずアニメの中に取り入れ、作品を生き生きとさせている。
次に私を引きつけるのはキャラクターのイメージである。他国のアニメ、特に当時の中国のアニメと違って、ほとんどの登場人物が完全無欠ではない。それぞれの短所や弱点を持っている普通の人間である。例えば、何をしても駄目なのび太、自己中心的で乱暴なジャイアン、家庭が裕福でよく自慢話をしているナルシストのスネ夫……。このため、見ているうちに、「この人はクラスメートの○○さんみたい」とか、「あの人は隣のおばさんにそっくり」とか、もともと架空の人物なのに、周りの人々のように思えてくる。もちろん、立派な偉人や英雄をモデルにして、子供たちを教育することは悪いことではないが、そうすると視聴者との「距離感」が生じてくる。むしろ平凡な人間の話の方が子供にとってはより親しみやすくて面白い。登場人物の言動をどのように評価すべきかということも、子供たち自身に考えさせる。これも一種の思想啓発と言えるだろう。
最後に、私が面白いと思うのは想像と現実を混ぜ合わせたストーリーである。猫型ロボットのドラえもんはたくさんの悩みを持っているのび太のもとに現れ、ポケットから秘密道具を取り出して困難を解決してあげたり、夢を叶えてあげることもある。あの頃、さまざまな夢を持っていた私は、のび太のことがうらやましくてたまらなかった。いつも、「もし私のそばにドラえもんがいれば…」と思っていた。しかし、秘密道具で一時的に問題を解決できても使い続けてはいけない。それに不適切に使った場合はしっぺ返しを受けることもある。そういう時こそ、のび太が反省して学んでいるときである。現実に引き戻される視聴者の私は残念だと思いながらも、これはある意味では、「他の人に頼らない。自分のことは自分でやる」という自立面の教育ではないかと思っている。私も当時、ストーリーの面白さを楽しみながら、いろいろ啓発を受けてきたように思う。(編集/北田)
※本文は、第六回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「メイドインジャパンと中国人の生活」(段躍中編、日本僑報社、2010年)より、呉亜楠さん(北京第二外国語大学大学院)の作品「子供の頃好きなアニメ『ドラえもん』」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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